15年以上も全日本フィギュアを撮り続けてきた、ベテランカメラマン田口有史氏が、
世界フィギュアで羽生結弦ら選手達の活躍を撮る為に、想像以上に身の危険を感じた、ストックホルムでの先の見えない不安や、壮絶な日々。ぜひ皆様と共有したいのよ。
そしてロシアスケート連盟は来月大阪で開催予定の「世界国別対抗戦」の出場ベストメンバーを正式発表に!
世界フィギュア現地取材、ベテランカメラマンが初めて感じた緊張感
今回の取材ほど、本当に撮影ができるのか半信半疑であったことはない。
思えば、昨年の世界選手権はカナダのモントリオールで行われる予定だった。しかし2月から世界的流行の兆しを見せ始めた新型コロナウイルスの影響で、大会は直前にキャンセル。アジアから北米に向かうと入国できなくなる可能性もあったため、メジャーリーグの取材をしながら大会の開催を待っていた私は、この中止を皮切りに、テニス、ゴルフ、バスケットボールNBA、メジャーリーグと次々と大会、試合がキャンセルとなり緊急帰国。そのままコロナとの戦いは長く続くことになった。
それから約1年。2021年世界フィギュアスケート選手権をスウェーデンのストックホルムで迎えることができた。
1年も経てばパンデミックの状況は落ち着いているだろうという目論見は見事に外れ、今回、日本を出入国するには、今までで最も厳しい条件であった。
2月に取材申請が始まるとともに、スウェーデンは日本人の入国を原則停止。例外的に認められるためには、その分野で欠かすことのできない人物であるという証明と、国境通過48時間以内の陰性証明書が必要となり、たとえその書類を持って行ったとしてもスウェーデンに入国できる確約はない。
また日本帰国時には、搭乗前72時間以内の陰性証明書と、到着から3日間、検疫官の指定する場所において隔離措置が取られることになる。
それだけ大変な準備をしなくてはならなくても、今回の世界フィギュアを撮りたいと思った理由は、15年以上撮り続けてきた全日本フィギュアを撮影できなかったこと、来年行われる北京オリンピックの出場枠がかかる大事な大会であるということ、そして、この状況で競技を続けている選手たちの姿をきちんと残して、実際に見ることのできないファンの方々へその姿を写真で届けたいという想いからだ。取材するチャンスが少しでもあるなら、高い障害があっても向かわないわけにはいかないと思った。
こうしてたどり着いたストックホルムは、パンデミック下のアメリカでメジャーリーグを、そしてエジプトでハンドボールの世界選手権を撮影してきた私でも、想像以上に危険を感じる状態であった。
まず、空港に到着するなり、警備員が誰もマスクをしていない。入国審査官もマスクをしていなければ、ホテルへ向かうタクシーの運転手もしかり。街を歩く人々も、ほぼ誰一人マスクをせずに話しながら歩いている状況に、果たして無事に撮影をすることができるのかと強い不安を感じることになった。
1週間の自宅待機勧告に従って早めにストックホルム入りしたものの、街はそんな状況。取材証を受け取るためのPCR検査、そして大会中は3日に一度の抗原検査が我々プレスには義務付けられている。
競技関係者以外はバブル方式ではなかった。飲食店ではキッチンにいる人も誰もマスクもしていない状態で、外食もできないままの生活。検査をクリアしなければならない重圧が続く中、女子ショートを迎えられた初日はカメラマンみんなでほっとした。
選手たちは20日、21日に現地入り。ただでさえ激しいプレッシャーがかかる大舞台であるうえに、いつもとは全く勝手が違う大会運営、緊張感の中での戦いとなった。そのためのコンディショニング、特に精神面のコントロールの難しさは大変なものだった、と強く言える。
実際、SPが終了した頃には筆者も、ストックホルム到着後あるいは日本出発前から続くこの緊張感により、自身の感覚がなかなか定まらず、仕事もままならないほどのこれまで感じたことがない激しい疲労感に襲われた。
そんな中、渾身の力のこもった演技を見せてくれた選手たちには心から敬意を表したい。また読者の皆さまにも、お届けした写真から、選手たちのフィギュアスケートにかける熱い想いを感じていただけると幸いだ。
ベテランカメラマンの田口氏ですら、想像以上に身の危険を感じたという。
「空港に到着するなり、警備員が誰もマスクをしていない。入国審査官もマスクをしていなければ、ホテルへ向かうタクシーの運転手もしかり。街を歩く人々も、ほぼ誰一人マスクをせずに話しながら歩いている状況」
もうこの言葉を聞いた瞬間に、どれだけ恐ろしい環境に放り込まれた(失礼)のか、想像を絶するわね。
カメラマンたちは、もちろんバブル外だから、自分の身は自分で守らなければいけない。
でも周りの人間が、皆コロナへの意識なんてものはないのだから、どれだけのストレスを抱えながら、また大会が始まるまで先行きが見えない日々を過ごしてきたかと思うと胸が痛くなるわ。
「実際、SPが終了した頃には筆者も、ストックホルム到着後あるいは日本出発前から続くこの緊張感により、自身の感覚がなかなか定まらず、仕事もままならないほどのこれまで感じたことがない激しい疲労感に襲われた」
自身の感覚が定まらないって、、、、涙
当然、選手だってそう。バブル内でルールを守らない国もいる中で、
日々どれだけのストレスを感じながら大会本番へのコンディションを整えていったのだろう。
そこに持病である喘息も、彼の演技に大きな影響をもたらしていたに違いない。
そんな中での「天と地と」を最後まで滑りきり、そして見事に銅メダルを獲得したことが、どれだけ大変で、そして素晴らしかったことか。
日本のメディアは彼の立ち位置を悲壮感が出るような報道の仕方をしたり、だからあたしは新聞をあまり進んで読むことはしなかった。
いや、本当に素晴らしい演技をありがとう!そして輝かしいメダルをありがとう!!と称賛する以外に何があるというの?
これから羽生結弦ら選手、そしてカメラマンの方々もまだ続く不安の中で、隔離に入る。
どれだけ多くのリスクを背負って、そして人々に感動を届けることの素晴らしさを伝えてくれた方々に感謝しかないのよ。
そしてコロナ陽性者を出しながらも強行開催したISUに対しては、こうした方々の大変さが本当にわかっているのだろうか?と疑問になる。
それは来月開催の世界国別対抗戦がスケジュール通りに進んでいることからも明らか。
何が一番大事かって、選手、そして大会に携わる方々の「健康」以外なにものもないでしょうが!
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4月7日発売
☆フィギュアスケートマガジン2020-2021 Vol.3 世界選手権特集号
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☆合わせてお読み頂きたい☆
4月15日大阪で開催予定の世界国別対抗戦。
ロシアスケート連盟から、世界フィギュアの結果を受けてなんとベストメンバーが発表されたわよ。
女子シングル:アンナ・シェルバコワ、エリザベータ・トゥクタミシェワ
男子シングル:ミハイル・コリヤダ、エフゲニー・セメネンコ
カップル:アナスタシヤ・ミーシナ&アレクサンドル・ガリヤモフ
アイスダンス:ヴィクトリヤ・シニツィーナ&ニキータ・カツァラポフ
※参照:ロシアスケート連盟公式
世界フィギュアの結果を受けての発表なのであれば、日本はどうなるのかしら?
公式サイトにはまだ出場選手が発表されず。今の状況で隔離なし(水際強化対象国は3日間のみ)、しかも有観客。
心配な日々はまだまだ続きそうだわね。
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View Comments
オネエ様こんばんは。
田口さん、小海途神のレポも同様の内容でしたね。
どれだけリスキーな状態に皆さん置かれていたか。
しかもバブルとは到底言えないような様子で隔離期間終るまで本当に安心出来ませんね。
先程、関空組が帰国でしたが、、、。関空組→WTTでしょうか?
宮原選手はまた別便とか。
男子シングルはあと一人どうするのか?
ワールド組二人は都内からわざわざ直近に関西に移動??
もしくは関西拠点の別の選手??
なんにしても無観客か中止、何方かにして欲しいです。
大阪、兵庫、奈良、京都。リバウンド増加顕著です。
隔離なしで海外入国って認められるのでしょうか?
ISUも日本のスケ連も信用全く出来ません。
二週間後、リバウンドの傾向はもっと悪化してると思います。変異株も。
本当に狂気の沙汰でしか無いですね。
>セデル様
セデルさん、こんばんは。
関空組が恐らくWTT出場になりそうですね。
考察記事を書こうと思ってはいるのですが、そうこうしているうちに発表になりそうですね。
隔離なしでOKというのはおそらく政府が認めた例外にあたるのでしょうね。
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/03/30/kiji/20210330s00079000420000c.html
スポニチの記事から羽生くんと宇野くんはWTT不出場濃厚だという憶測が広がってる
ようですね。
鍵山くん、ペアダンスのワールド組も関空。
そして隔離先までの移動手段がスケ蓮のチャーターしたバスという事なので、
国別出場組は関空直行か?
でも、これでいいと思います。ソチ以降に羽生ファンになった方達は知らないと
思うけど、12年のニースワールドでパトリック・チャンを勝たせる為の偏向採点。
そして1ヶ月後の国別ではルールに基づいた本来の採点が行われて、
高橋がパーフェクトな演技をして会場の代々木が崩壊するほどの熱狂ぶりでしたが、
時間が経つとあれは完全なガス抜きだったな。とファンが気づいた件がありました。
羽生くんが出れば会場は意図も簡単に埋まりますが、9年前のように
これ以上日本人がナメられる行為に加担する事は無いと思います。
>ゆきっちょ様
関空組が恐らくWTT出場になるのでしょうね。
一時期パトチャンの偏向ジャッジもあからさまでしたね。
誰がどうあがいても勝てないようなPCS付けてましたから。
おネエさま、こんばんは。スウェーデンでは平均で1日5,114人の新規感染者で人口比で西欧で最も多いそうですね…。マスク無しの人たちも多く、、そんななか皆さんよく無事で帰国されて本当に本当によかったです!おネエさまの別記事の無事帰国した羽生くんの笑顔をみて、私もようやくほっとしました。とはいえ、日本だって気をつけなければいけない状況なのは変わりなく…選手を国別対抗に無理やりだすことだけはやめて欲しいと切に願います。特に集客力のある羽生くんを、本人の希望であればいいですが、強制するのはやめて欲しいなぁ(愚痴っぽくてすみません)。
>あ太郎様
あ太郎さん、こんばんは。
ユヅは国別へは出場しないと思います。
ワールド出場した東京拠点組が関空に直行していますので、恐らく彼らが出るのでは?
いずれにせよ、いま大阪での開催はリスクが大きいですよね。
オネエ様 連日ありがとうございます。
サロンの方が載せてくださったドイツのEX映像を観ましたが、フィナーレで全選手がそろう場面で優勝者のネイサンよりも羽生君の方が多く映されていたみたいで、黒い服着た選手が沢山いたからカメラマンがネイサンを見つけられなかったのかな?とか、数字上ではチャンピオンでも現地カメラマンも私達と同じように羽生君が一番なのかも?とか、ん?なんでノバドン君がいるん?20位でしょ?24位のマヨロフ兄は開催国枠だし、南米枠?4大陸だったかしら、メキシコジャッジが羽生君の3Aに0点付けたから低い方から2番目の点が有効になったことあったな、それでかネイサンが僅差で優勝だったような・・とか、かおちゃんマスクしていなかったな、忘れたのかな?とかいろいろ思いました。リンク内カメラでの撮影は今後も行われるのでしょうか?危ないと思うんですけどね。りくりゅうぺアのデススパイラルの時なんて近くにカメラマンの足が映っていたし、カレンのレイバックスピンの時にもカメラマンの頭が映っていました。実際の距離がどの程度だったのかはわかりませんが、選手がどう移動するのか完全に把握できていないと危険だと思います。仮に次は右に移動するから~とわかっていても、どちらかが氷の溝に引っ掛かって転倒したりしたら思いがけない方向に向かいそうだし。見ている側からしてもスピード感がわからなくて・・・つまり、私は嫌です!15年だったかな、国別EXのパリ散の最初のジャンプ、リンクの向こうからこちらに向かってきてジャンプ着氷後の流れまでフェンスと羽生君を一流れで映したものがあったけど、あれはスピード感、距離間、会場にいるような臨場感があって良かったです。ゆきっちょさんがおっしゃる12年世選、ユーロの解説者も「茶番だ!優勝は髙橋だろう!」って怒っていたそうですね。日本でもJスポの女性解説者が「パトリックの大きくバランス崩した場面で減点したジャッジが一人もいなかった。」って言っていました。4TTは中止になればよいと思います。
>ナミ様
ナミさん、こんばんは。
今朝上げる記事にISUがいままで散々米選手をPRしてきたのに、
矛盾している点について少し触れています。
オネエさま☆いつもありがとうございます。
海外選手のインスタをいくつか見ました。ディスタンス関係無くスマホに収まる距離間で記念撮影。一緒に写されてる羽生さんは勿論マスクをしていますが正直気分が悪かったです((( ̄へ ̄)。そんなにスマホで撮ることが大事?相手の事を思えば自分がどう行動すべきか、わからないのかしら。大変な思いをして一生懸命自衛している人が、適当な輩に命の危険に晒されるのってホント嫌です。写真請われた方は断れないでしょうし。無駄にエキシまでやらせる(ほんと無観客でエキシとか…)なら、スマホ撮影禁止するとか、それすら出来ない組織も本当に情けないですね。
>こけもも様
インスタわたしも拝見しましたが、
マスクをしていない選手との撮影はリスクもありますよね。
そうしたものを平気でアップする時点で感染対策の意識が全く違うのでしょうね~。
オネエ様、
カメラマンの方たちが現地の状況を伝えてくださってありがたいです。選手の皆さんはどれだけのプレッシャーの中で演技をしてきたことか(ロシアはコロナ プレッシャーはなさそう) ...。とにかく皆が無事戻られたことが一番です。
ゆきっちょ様の、四大陸でガス抜き説、なるほどと思いました。羽生くんが出れば、今度は点数を出すつもりだったのかも。ああ、 また腹がたってきたわ。
>たぬきち様
前から、国別対抗って、わたしの中では
日本のフィギュアファンの為の大会と位置付けています。
大体ワールドの理不尽なスコアがWTTでは逆転現象が起きるのを真央の時から散々見てきましたから。