羽生結弦と清塚信也氏が共演したクラシックTV。貴重な話の数々を書き起こしたので、一緒に振り返っていきましょう。
2連覇が懸かった平昌五輪ショートでは、曲じゃなく演奏に合わせに行き過ぎて意図的にスピンのレベルを落としたと!
あっという間の30分放送で、未公開集を含めた完全版の放送を願う声が出演者からも。
清塚氏「ゆづちゃん今日は本当にありがとう。いやテレビでゆづちゃんなんかダメだよな、羽生さん」(※以下「清」)
羽生結弦「ゆづちゃんの方がいいと思いますよ、僕ららしくて」(※以下「羽」)
二人が出逢ったのは2018年のアイスショー
羽「弾き方今と違いますね」
清「違う、全然違う」
羽「僕も滑り方、今と全然違う」
清「これだって本番の直前に初めて合わせたんだもんな。もう人間として見れないよね、なんかもう超えたもの」
鈴木愛理氏「手を広げた時に花びらが手から舞うみたいな。羽生さんが清塚さんにアレンジをお願いしようって思ったきっかけってあるんですか?」(以下「鈴」)
清「元々メドレーの中のひとつとして『春よ、来い』を1分ぐらいで弾いていたんだよね」
羽「1分しかない曲を、この曲すごい素晴らしいんで3分ぐらいにしてもらえませんか?清塚さんの演奏じゃないとこれは作れないんだろうなってすごく感じたんで」
清「尺の都合で、本当にパズルゲームのように後ろを持って来て繋げましたっていうことが、必ずしも音楽として上手くいっているかどうかは難しい問題で、そこにすごく目を付けたというか」
羽「音楽をぶった切ってフィギュアスケーターの為に作りましたじゃなくて、ちゃんと音楽があってフィギュアスケートがあってスケーターがいて、それを見た時にちゃんと物語として作品として成立しているのが一番いいですよね。
僕クラシックTVめちゃくちゃファンなんでずっと見てるんですけど、ここ切ってるところ多分作曲家の方々見たら、『あ~、そこ切ったんだ』って言われるんだろうなって思いながら笑」
なりきれる曲「バラード第1番」
清「ゆづちゃんのすごいとこそこ。演奏に合わせる、曲じゃなくて。演奏家の『域』に合わせて来る」
羽「そうですね、演奏に合わせにいきますね」
清「ここからのステップ、どうしたの?っていうぐらいすごいよね、細かい。それこそ滑ってる感じがないもん」
羽「そうなんですよね、滑るところと滑らないところとやっぱり意識してやりますね。こういうところはすごい滑ってるし、ここは全然滑らないで足だけ動かすみたいな。これスピンレベル落としてるんです、回転数がちょっと足りなくて。でも演奏に合わせにいき過ぎて、、、」
清「あ、そういうことか。演奏でしょほぼ見てると」
羽「このバラード第1番という楽曲と出逢ってから、ピアノ自体が持っているオーケストラ性がこんなにも深いものがあるんだなっていうのをすごい感じながら滑ってますね今は」
鈴「今のプログラム(バラ1)のお気に入りのところとかってあるんですか?」
羽「ピアノが右手と左手で違う音階とリズムをとっているところが、すごくいろんなところに散らばってるんですけど、
上半身は右手、下半身は左手みたいなところがあるんですよね。それはバラード第1番のいいところですね」
清「これは本当にフィギュアスケーターの意見とは思えない。ショパンというのは自分自身の言葉で『僕の音楽は左手が指揮者、右手がソリストだよ』と言ってる。
ショパンの特徴で手があんまり大きくなかった人だから、回転させる動きが多いんだよね。その回転の部分を利用して本当に回転していくんだよ、すごいよね。そのセンス、感性はショパンのバラードそのものって私は感じる」
2022年勝負をかけた曲「序奏とロンドカプリチオーソ」
清「曲の解釈、これが10点満点。すごいね」
羽「嬉しいですね。競技ってどうしても難しいことをやって、その難しいことによるプレッシャーとかもすごくある中で、曲の解釈を表現しなゃいけないし、いろんなことも表現したいし、いっぱいいっぱいなんですよね。
でも、表現したからすべてが点数になるかって言ったらそんなこともないけれども、でもジャンプも全部やって、曲の解釈も全部とってやる、表現も全部とってやるみたいなこだわりはすごいありました。
清塚さんは自分が滑ってるものをイメージしながら作ってくださってたと思うんですよね。もう受け取った瞬間から、ここでスピンだな、ここでジャンプだなって簡単に浮かびましたね」
清「それはもうビジョンはバッチリ決めてはいた。ゆずちゃんのスピンやジャンプとかはオクターブの連続にして活きるような気がして。回転と相性の良さとか大きくすればするほど、大きいものをやってくれるし、細やかさ軽やかさを出せば出すほど受け取ってくれる。
これを初めて全日本フィギュアで振付を見たんだけど、本当にびっくりした。違和感があるぐらい、音がゆづちゃんから出てるんじゃないか?ってぐらいシンクロしていたので。自分の演奏でもここまで細かく聞き取れるだろうか?って思うぐらいゆづちゃんは聞きこんでくれた。
画面越しにすごいメッセージをくれているようで、本当に涙が流れました」
鈴「清塚さんに編曲をお願いしようと思った時に、どんな思いがあったんですか?」
羽「そもそもは自分の中で、情熱があって芯がある人間なんだけど、その芯の周りにはちゃんと孤独があったり冷たさがあったりとか、熱と冷たさの狭間にいる感じをイメージしてロンドカプリチオーソがいいなと思ってお願いしたんですけど、
清塚さんて熱量のすごい高い時と、全然ない時ってあるじゃないですか笑 そのスイッチの切り替えの感じがロンカプの熱いところと冷たいところの両方とも出せるなと思った」
鈴「人間性から入ったってことですね」
清「孤独が周りにあったり、芯が中心にあったと聞くとやっぱりゆづちゃんそのものに感じちゃう。外には出さないでゆずちゃん自身が秘めてる心、例えば震災のご経験なさって、その時悔しい思いをなさったとか、もっと自分出来ることがとかストイックで孤独で厳しいことを知っている。
それを隠すんじゃないけど、それを秘めているゆずちゃんというのが時々見える気がする。このプログラムではそういうゆずちゃんを引き出したかった」
羽「僕はこの曲を聴く時に、自分の人生を乗せたい、自分の願いとか熱を乗せたいってすごく思ったんで」
清「それがすごく伝わってきました」
鈴「繋がってるおふたりだからこそ、ちゃんと出来上がった、、、」
羽「いや、僕はここまでスイッチの切り替え激しくないと思ってます笑」
清「なになに、ここへきて引き離すの~笑」
プロ転向への思い、、、
清「プロになってくれてすごく嬉しいんだけど、どんな思いからですか?」
羽「プログラムがどんどん、どんどんやっていけばいくほど細やかになっていくし、音のひとつひとつが表現したいことがどんどん見えてきてその感覚がものすごく好きだったんです。深められるんですよね、自分がやりたいことを常にずーっと点数だけじゃなくて、そうやって深めていきたいというのが一番の理由ですかね」
清「プロになってから『春よ、来い』やるにしてもどんな気持ちで滑ってらっしゃいます?」
羽「例えば、このオンエアを見てくださってる方がほんのちょっとだけ辛い思いをしたり、机の角に小指ぶつけたとかでも。そんな小っちゃいものがちょっとでもあったかく、そこに春が来るように思いながら滑ってますね」
清「この曲最初にアレンジしている時に、(出だしのリピート部分)何か新し扉を開けるみたいな雰囲気にしたいとおっしゃったのがすごい印象的だった。どなたかの新しい扉を常に開いていると思います、今でも」
羽「清塚さんてやっぱり風景とか心のイメージとかを音で描写するのがすごいお上手だと思ってて、だからこそ『春よ、来い』を聞いた時に、自分の中だけじゃない、清塚さんが持ってる伝えたい春が伝わった気がしてて、そこからまた前を向ける力になったなあというのがあります」
清塚氏、『春よ、来い』を演奏。
羽「感動しますね、本当に。やっぱり音楽もフィギュアスケートもいいですね。なんか僕にとっては生きる活力になるし、なにかしらそこから感情が灯ったり、
別に深い意味じゃなくていいんですよ。綺麗とかシンクロした、すごいねとかでも全然いいんですけど、それを与えてくれるのは音楽であり、フィギュアスケートだなってまた改めて感じました。
【羽生結弦関連新書籍のご案内】
本日!1月6日発売
☆羽生結弦 魂のアスリート (ワールド・フィギュアスケート別冊)
プロフィギュアスケーターとしてのステップを踏み出した羽生結弦。インタビューを交え、レジェンドの軌跡を写真満載で辿ります!
Amazon
楽天
価格:3,300円 |
☆蒼い炎Ⅲ -究竟編-(くきょうへん)
待望の自叙伝・第3章が7年ぶりに刊行!
夢だった五輪2連覇をついに達成した羽生結弦。
さらに理想のスケートを求めて、境地を目指す王者の道のり―
「究竟(くきょう)」とは、「究極に達すること」、仏教用語で「無上」を意味します。
度重なる怪我に苦しみながら、66年ぶりの五輪連覇を果たした羽生選手。
その後もストイックに技術と芸術の融合を追い求める姿を、第3弾では描きます。
※ 限定版と通常版はカバーのみが異なります。
通常版
Amazon
楽天
価格:1,870円 |
Amazon
楽天
価格:1,870円 |
NHKプラスでは昨夜の「クラシックTV」見逃し配信を今月12日(木)21:29まで配信中よ。
清塚氏が別ツイートのハッシュタグで、#カットしたところだけで特番作れる #体感3秒
という言葉通り、体感3秒で終わってしまうぐらいの短い放送だったわよね。
ぜひカットしたところを完全版として特番希望します!笑
出演者も未公開集を放送希望してるじゃないの!
近い将来が「GIFT」になるんじゃないかなとあたしは予想しております!
ぜひ東京ドームでふたりの共演が見たいわ。
今回のクラシックTVのトークを書き起こしながら、
羽生結弦が追い求めている、表現しようとしている「フィギュアスケート」って全く異次元なところにあるのだなと再確認できたわ。
連覇が懸かった大事な平昌五輪のショートで、
演奏に合わせに行き過ぎて、ステップのレベルを意図的に落としているって凄さよ!?
それでも一人圧倒的な演技で2連覇達成してしまう強さ。
リンクにいたジャッジ誰一人として、演奏に合わせにいったからとは理解していないでしょうね汗
皆様、最後までお読み頂きありがとうございます。
どうか素敵な一日をお過ごしくださいね。
☆合わせてお読み頂きたい
ビビるも絶対に勝つ!羽生結弦が10歳で初めて世界へ出て感じたことは? - 羽生結弦好きのオネエが語るフィギュアスケート |
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
いつもブログランキングバナーでの応援クリック、心から感謝しております。
日々の励みになっています!
View Comments
オネエさま
クラシックTVもう文字起こしをありがとうございます。
「演奏に合わせる」には、オォ!となりました。春来いに合わせて
その場で舞っている羽生君の表情が、柔らかい、希望を感じさせる
暖かい笑顔になっていくのに見惚れていました。凄い!表現者!
八戸で終演後お話しした方の「なりきり結弦君と呼んでいるのよ」
を思い出しました。憑依型と言った、味も素っ気も無い私と違い、
可愛い呼び方。NHKはノーカットでこの素晴らしいお二人の会話を
きっと放送してくれると信じたいです。しまっておくの勿体ないですもの!
オネエさま
書き起こし、ありがとうございます&お疲れ様です!
おまけにいつでも見られるように各演技の動画まで…オネエさまの心遣いに感謝いたします。
クラシックTV、反響が大きかった放送のノーカット版?(拡大版かも)の放送が過去に実際にあったみたいです。これは期待ですね…というか早速NHKにリクエスト出さなきゃですね。
愛理ちゃんが、羽生君の春よ、こいについて「手を広げた時に花びらが手から舞うみたいな」と言っていましたが、まさにそうで、私は初めて春よ、こいを見た時に「桜の木の精が舞っているみたいだなぁ」という印象を抱きました。
「桜の木の精」とか言うと紅天女(梅の木の精)みたいでついつい月影先生の「マヤ…恐ろしい子…!」を思い浮かべてしまい、思わず「結弦…恐ろしい子…!」とガラスの仮面ごっこをやってしまうオタクです。(というかガラスの仮面50巻はいつ出るんだ…ついに49巻発売から10年経ってしまった。「最終回を見るまで死ねない…」と言っている高齢者を今まで何人見送ってきたと思っているんだ…!…すみません、脱線しました。)
オリンピックのバラ1のラストのスピンLEVEL3はそういうことだったのか~…とビックリ。オリンピックの、しかも二連覇がかかっている試合、1点でもライバルをリードしておきたいところを、点数を稼ぐ云々より作品を仕上げることに意識が働いたんですね。
そして多くの観客・視聴者の中にルールに詳しいスケオタもいたと思いますが、あの時は最初から最後まで流れるような美しい演技で、最後のスピンも音に合った自然な動きだったので、レベルを取りこぼしている事なんて殆どの人が気付いていなかったと思います。(各国実況でも、唯一イタリア解説のアンジェロさんだけですかね?すぐさま気付いていたのは。)
当時某サイトの実況版にいましたが、回転数とか詳しくない一般視聴者が多く集まるサイトだったので、「完璧な演技だったのに何で最後LEVEL3??」と言っているコメントが多かったのを記憶しています。
音から動きが少しズレるが回転数を満たしているLEVL4と、音に合わせた動き故に回転数がギリギリ足りないLEVL3、見ている人がある意味素直に「美しいノーミスの演技」と感じるのは断然前者なのだなと思いました。
オネエ様、サロンの皆様明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い申し上げます。
オネエ様、夕べのクラシックTVの書き起こし、ありがとうございます。お陰様で何度も反芻しながら噛み締めることができます。
それにしてもものすごく有意義な良い番組でしたね!あっという間の30分、されど中身がぎゅっと凝縮された濃い番組なので、一言一句、映像のコンマ1秒も漏らすまいと必死に観ていました。この後直ぐ3回見直しました、笑。
こんなにも深く真剣に曲とも向き合い、一音一音を大切に演技にシンクロさせていくプラグラム、もう誰も(ジャッジやISUやスケ連……諸々)ゆづ君の域に辿り着けず、理解できないのですね!
点数で評価されるのはもういいかな!とおっしゃられた決意表明会見のコメントを思い出しました。
早速、NHK様に拡大版orノーカット版の放送をお願いしてきました。
ちぴ様、ガラスの仮面の愛読者として頷きまくりました、笑。
ロードライト様
ガラスの仮面…自分が生まれる前から連載されているものがまだ完結していないってどういうことなの…?っていう…(-ω-)
頭の中にはもう最終回まで浮かんでいるとか、終わらせる気はあるとか読者を期待させるような事を言っているみたいですが…いや、絶対もうやる気ないやろwっていう…。
常に有言実行の羽生君の爪の垢でも煎じて飲んで欲しいです。
(あっ、羽生君の爪に垢なんかないわ)
※オネエさま、フィギュアから脱線した話をしてしまい申し訳ございませんm(_ _)m
おネエ様、あけましておめでとうございます。いつも楽しく拝見しております。
クラシックTV素晴らしかったですね。カットしまくってるのはオンエア見てもよくわかりますね。ノーカットで是非とも見たいです。
私は、ロンカプと春よ、来いの清塚さんの演奏とゆづる君の身体が勝手に動いてしまう感性の豊かさに涙が流れました。
演奏に合わせすぎて回転数を落としているとは❗️彼のスケールの大きさではもはや競技の枠には収まらないと言いますか、凄すぎです。
私は春よ、来いではゆづる君の背中に花びらも見えますが、羽根が見えます。まさに紅天女❗️ちぴ様、御名答です。この世のものとは思えません。
マヤと真澄さまの恋の行方も気になります。ようやく2人の気持ちが通じあったのに…。
今年もよろしくお願いします。
ププキコ様
紅天女、マヤか亜弓さんか決められないならもういっそ羽生君にやってもらえばいいのでは…? と言いたくなるくらい完結する気配が無く絶望しています。
49巻であんな読者に期待させる終わり方をしておいて10年以上も待たすとか、そのうち紫織さんばりに暴れて紫のバラ燃やして、トドメに池にダイブする読者が出てきそうな気さえします。
※オネエさま、フィギュアから脱線した話をしてしまい申し訳ございませんm(_ _)m